#02.麿芽

2019.05.16.THU.

犬から学んだ、人生をより豊かに生きるヒント

#02_MAME (TOKYO)

井手 香織・政孝・磨芽

元保護犬 磨芽(まめ)のこと

Mダックスの男の子。
神奈川県動物保護センターに収容された犬と猫たちをレスキューし、新しい家族に繋ぐ保護団体からご縁をいただき家族になりました。明るくマイペースで陽気な性格の磨芽は、先住犬や友だちにも恵まれて、たくさんの愛情に包まれながら推定年齢23歳まで長く幸せな人生を送りました。

犬と人が起こす奇跡

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今回は、インタビューではなく、enkara運営のKaoriと犬たちのことを皆さんにお話したいと思います。

どうして、こんなに”犬”という存在が愛おしくてたまらないのか、犬と共に暮らし20年近く経過した今もその明確な理由は分かりません。
ただ、今思うことは、こんなにもピュアで実直、そして誰よりも勇敢で愛情深い、優しく賢い生き物に、私は犬以外でまだ出会ったことがなく、その存在を尊敬していて、彼らから学ぶことがあまりにも多すぎて、人生の大先輩だと思っていることかもしれないという事。
さらに、彼らは個性的で、その魅力も様々。その違いもたまらなく愛おしい。

犬と人間が心の通う関係性を築くことができた時、スパークが起きてテレパシーみたいなものを使えるような瞬間がやってきます。
「え??笑」って思う人もいるかもしれない・・・いや、本当なんです。
多分、犬と暮らしていて、そのテレパシーが使える人たちは実家の母だったり、祖父母だったり、子どもだったりすることもあって、みんな案外普通に通い合っています。
私も例に漏れず、犬たちが今考えている事はほとんど分かるし、私の思考も伝わっているはずです。
そんなスペシャルが自分の人生に起きるだなんて♪
犬と暮らすと日々の幸せは無限大。

それぞれの犬たちとの出会いと気づき

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私と犬のはじめての出会いは幼少期。
記憶の片隅にある、大きな雑種と小さなマルチーズとの生活。
祖父母も含め、家族全員がありとあらゆる生き物好きという環境下で育った私。
その後、自分のパートナーとして、念願となる犬をペットショップから迎えました。
ウェルシュコーギー・ペンブローク、大好きな絵本(ターシャ・テューダー)に登場するコーギーは夢に描いた犬で、生後3ヶ月の愛くるしい小さな仔犬との暮らしが始まったあの日から’’犬’’という存在に夢中です。
その数ヶ月後には、素晴らしいブリーダーからウェルシュコーギー・カーディガンを譲り受けました。
当時、まだ10代だった私は、父親を連れて何度か犬舎に通いました。
今思うと、それは大切なことで、ブリーダーから母犬や仔犬たちへの想いや責任、躾について教えていただく時間があったことで”犬”に対する意識が180℃変化したように思います。
海外の検査機関に依頼した遺伝性疾患のスクリーニングテストなどの結果も託され、生後6ヶ月でやっと我が家にやってきた2頭目の犬。
自宅に到着した瞬間、玄関とキッチンをバタバタと笑顔で往復しながら走っていたあの笑顔を今も昨日のことのように思い出します。
2頭の犬との暮らしの中で”保護犬”という存在を知り、日本の動物愛護の現状も知るキッカケをもらいました。
程なくして、鎌倉にある保護団体からMダックスとのご縁をいただくことになりました。
今回は、元保護犬の磨芽とのセカンドストーリーをご紹介します。

保護犬、磨芽が家族になった日

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コーギーたちとの暮らしにも慣れた頃、保護犬のために私ができることを____と考えた当時の私は、保護犬を家族として迎えることを選択しました。

保護団体にエントリー申請をし、犬種や性別、年齢など全て団体に一任し、その日を楽しみ待ちました。
一任した理由は、家族を待つたくさんの犬たちの中から「この犬がいい!」と選択する事が出来なかったから。
そんなある日、1件の連絡が入りました。

「Mダックスの男の子がいるのですが、ご家族としていかがでしょうか?」

詳しいお話を聞くと、どうやら2頭で路上に放置されていて、飼い主を探したが現れず、センター移送された犬でした。
1頭はすぐに新しい飼い主が決まったものの、もう1頭はなかなか決まらない。そこで私に連絡をしたとのこと。
早速会いに行くと、透き通るように茶色く優しい瞳をしたMダックスがそこにいて、一瞬で「なんて愛らしいんだ♡」と感じました。
家族会議をし、コーギーたちとの相性も確認をし、家族として迎えることになりました。
名前は、新しく始まった人生をより豊かなものにして欲しいと願いを込め磨芽(マメ)と名付け、家族になった日を誕生日にしました。
保護団体から「受け渡しの時は、これから先、しばらくお散歩をしない場所を選んでください」と言われた私は馴染みのない公園にかかる橋を指定しました。
12月の晴れた昼間、橋の向こう岸から、一時預かりボランティアの方達に連れられてトコトコとやってきた磨芽。
橋のちょうど真ん中で、何も話す事なく、リードをしっかり託されました。
そのリードを握った私は、共に歩きながら「磨芽を必ず幸せにする」そう誓った心の変化を今でもよく覚えています。

磨芽は、理想的な性格の犬でした。
小さなことは気にせず、世界で一番気持ちの良い場所を知っている犬で、磨芽がいるところに行けば「あ、ここ最高に気持ちいい」と気づく事ができるそんな犬でした。
犬にも子どもにも誰にでも優しく、穏やかなのによく遊ぶ健康的な犬でした。
息子が熱を出せば、ベッドに上がってずっと側に寄り添いひと時も離れる事がない愛情深い犬でした。
5~6歳と言われて家族になった磨芽は、その後20年近く共に暮らし「え??一体いくつなの??笑」と、もはや年齢不詳のパワフル爺さんでした。
そして段々と歳を重ね、私たちに最期まで愛を教えてくれました。

小さな体から教えてもらった人生の指針となる大きな事

20年近く一緒に暮らしてきたので、語りきれないほどの思い出や物語がそこにあります。
何を話そうかな・・・と考えたけど、たくさんある写真の中から1枚を選べないようにその物語も選べませんでした。
磨芽が私に教えてくれた事。
それは、何事に対しても寛容である事。
誰にでも優しく友好的に振る舞う事。
マイペースに自分の興味や好きを大切にする事。
今置かれている環境下で精一杯幸せを見つけて上機嫌でいる事。
そして、何より家族とコミュニティを愛する事。
磨芽が運んできてくれた事も溢れるほど大きなものばかりです。
一緒に共同経営しているenkaraのパートナーとの出会いも、以前10年以上経営をしたDOGグッズショップを始めるキッカケも、そして今、共に暮らす、息子と2頭の保護犬との出会いも。
今こうして、PRフリーランスとしてお仕事をしている事も。私の人生は、すべて磨芽が運んで導いてくれたような気がします。

我が家の教訓の中の1つにこんなものがあります。
『何かに悩んだ時は、心に磨芽を思い出して方向を決める』
理由は、磨芽が進む道は、いつでも温かくて心地の良いコトや場が広がっていたから。
私の人生の指標は、今でも磨芽が示してくれます。
そして、様々な振る舞いで息子の性格や気質も形成してくれました。
子どもが人間以外の生き物と共に暮らすことで得るものは計り知れない事を私は母として身をもって体感しました。
自分よりも強くたくましく大きい存在だった犬たちが、年を取り出来ないことが増えてくることで労わる気持ちが芽生えます。
何があっても必ず味方でいてくれる犬がいつも側で寄り添ってくれることの安心感は絶大で自尊心を育てます。
結果、どんな生き物にも優しく、尊重する寛大で感受性豊かな心を育み、多様性を受け入れるベースが出来ます。
そして最期の時間は、世の中には自分の力ではどうにもならない事もあり、それを乗り越える強さを教えてくれます。
息子は、磨芽にそっくりな性格になりました。

保護犬もどんな犬も”犬”は”犬”

ペットショップ、ブリーダー、保護団体とそれぞれ異なる場所で出会って家族になった我が家の犬たち。
”保護犬”だから苦労した事があったのか、心配な事やリスクがあったのか・・・と言われるとそれは全くありません。
保護犬であれ、他の場所から迎えた犬であれ、”犬”は”犬”であって、家族が増えることで、そのスタイルをお互い形成するまではそれなりに調整する時間や工夫もあるけれど、何一つ他に違いはありません。
大切なことは、その犬はどんな犬なのかを感じ取り、仕組みを考え、お互いが歩み寄ること。
それは、仔犬であっても老犬であっても、どんな気質でも同じ事だと思います。
過去にどんな出来事が犬に起きたのか。
それも大切な1つの情報かと思いますが、”今どんな時間を共に過ごすのか”それが積み重なり信頼の置けるパートナーになるのではないかと考えます。
そしてその日々が、まさに犬との暮らしの一番の醍醐味ではないかと私は思います。

犬たちが、私たち人間に教えてくれることはいつもシンプル。
ついウッカリ疎かにしてしまいがちだけど、人生をより豊かにするヒントばかりです。
今日みたいに5月の晴れた昼間、心地よい風が吹く木陰の昼下がり、私は生涯いつまでもきっと磨芽のことを思い出すでしょう。
この世界がこんなにも美しいことを教えてくれたことに心から感謝しています。

enkara運営 井手香織

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